2024年12月1日日曜日

2024.12.01 JACET中部支部第1回定例研究会 研究会発表「多文化共生と英語教育」

【研究会研究発表】
【多文化共生と英語教育研究会】14 時 00 分~14 時 45 分 司会 岡戸 浩子 (名城大学)

1.小学校英語教科書におけるジェンダー・イメージの分析 石川 有香(名古屋工業大学)

2.TOEIC 教材の掲載写真映像における DEI 視点の分析 吉川 寛(中京大学)

概要
1.グローバル化が急速に進む日本社会では、他者と協働することができる「多文化共生力」の重要性が 高まっている。英語教育においても、単なる英語の知識や技能の育成にとどまらず、ステレオタイプ を脱し、多様な価値観を受け入れる力や、多角的に物事を捉える力を育成することが喫緊の課題と なっている。しかし一方で、学校教育の場には依然としてさまざまなステレオタイプが根強く残っ ていることが指摘されている。特に,教科書は,学校という「権威」の中で使用され,一般的に,「正 しい」または「標準的な」価値観を提示していると考えられている。学校でも家でも,1 年をかけて 繰り返し読まれ読まされる教科書が児童に与える影響は大きい。そこで,本発表では,多文化共生力 育成の観点から,英語教科書に現れるジェンダー・イメージを分析する。 小学校英語教育は 2020 年に必修化され,小学校英語教科書は 2024 年に改訂されている。2 種類の 教科書に使用されているイラスト・写真を調査した結果,男女のイラストや写真の数には大きな差 がなく,男女平等に配慮された構成となっているものの,詳細な分析からは,女子児童・男子児童の 描写,女性教員の描写,一般的な女性・男性の描写には,ジェンダー・ステレオタイプが散見される ことが明らかになった。ステレオタイプは人の判断や行動に深く関わるが,我々は,自分の中のステ レオタイプには気が付きにくい。教育に携わる者すべてが,教科書の内容や視覚表現に対してより 敏感でより批判的な視点を持つことで,多文化共生を実現する教育環境の構築が可能になると考える。

2.DEI(Diversity, Equity, and Inclusion)の視点から、TOEIC 教材における掲載写真映像の分析を試みた。 TOEIC は米国の非営利団体 ETS が提供する非英語母語話者の国際コミュニケーション力を調べるビ ジネス系英語能力検定試験である。2016 年の受験者数は世界 150 カ国 700 万人で、その内日本人が 250 万人、韓国人が 200 万人となっている。日本では、高得点が入社条件、昇進条件、受験条件、進 級条件などに利用されている。特に、企業の英語検定試験の利用度(複数回答)では、TOEIC 97.5% で、英検 12.2%、TOEFL 6.1%と比べて群を抜いている。日本人ビジネスパーソンが商談などで、英 語でコミュニケーションを行う相手の 80%はアジア人と言われていることが、英検や TOEFL より TOEIC が好まれる理由であろう。 上記のような TOEIC の特徴を前提として、某 TOEIC 教材の 30 枚の掲載写真映像を DEI の視点か ら分析を行った。その結果、①登場人物の人種的な偏り、②撮影場所の偏り、③登場人物に男女役割 分担の傾向、④(白人)男性優位の暗示、等の分析結果を得た。この結果から、分析対象とした TOEIC 英語教材は、充分に「脱ステレオタイプ化」、「公正性」の概念が採り入れられているとは言いがたい と言える。恐らく、出版社の意向、写真映像の版権など著者への縛りはあると思うが、公正で偏見の ない国際コミュニケーションの構築を目的とする TOEIC 教材が求められる。

<石川有香資料>

2024年度に使用されている小学校英語教科書のイラスト内容をまとめたデータベースEDIT_Elem(version 1) 
http://language.sakura.ne.jp/y/gender/ETID_Elem_20241005.xlsx

2016年度に使用された中学校英語教科書のイラストの内容をまとめたデータベースEDIT(version 1)については,こちら。https://ishikawayuka.blogspot.com/2020/03/gender-and-english-education.html

また,同様の方法で,韓国の中学校英語教科書のイラストの内容をまとめたデータベースは下記になります。KATE-EDIT (version 1) https://ishikawayuka.blogspot.com/2020/07/kate-2020-korea-association-of-teachers.html

いずれもプロジェクトは進行中で,追加修正が行われます 

2024年10月4日金曜日

2024.10.05. 英語コーパス学会 第50回大会 シンポジウム「ジェンダーと英語教育」

 https://sites.google.com/view/jaecs-2024/

10月5日

1630-1800

「ジェンダーと英語教育」 

モデレーター 佐竹由帆(青山学院大学)

シンポジスト

石川有香(名古屋工業大学)現代の英語教科書に見るジェンダー

江利川春雄(和歌山大学名誉教授)歴史的視点から見る英語教科書のジェンダー

佐竹由帆(青山学院大学)英語指導(DDL)とジェンダー


シンポジウム概要

このシンポジウムでは、英語教育におけるジェンダー問題を多角的に取り上げ、教育現場におけるジェンダー教育の取り組みを検討する。 

英語教科書に描かれる女性像は、学習者のジェンダー意識に影響を与える。そのため、教育の場においてどのような女性の表象がなされているかを分析することは、男女共同参画社会の実現に向けた重要な課題である。英語教科書における女性の役割や描かれ方が学習者の意識にどのように作用しうるのか、現行の教材を通じて考察する必要がある。 

一方、過去の英語教科書に反映されたジェンダー観は、当時の社会構造や文化的背景を反映していた。過去の教科書分析を通じて、ジェンダーに対する歴史的な意識やその変遷を明らかにすることは、現代の教育におけるジェンダー課題を再考する上で有益である。過去の教育資料から学ぶことで、現在の教育における課題を新たな視点から捉えることができる。 

またデータ駆動型学習(data-driven learning: DDL)の手法を活用したジェンダー関連語彙学習についても考えてみたい。コーパスを参照して真正な英語表現に多量に触れることで、学習者が自らジェンダーに関連する語彙や文化的理解を深めることが可能となる。単なる知識の習得に留まらず、学習者がジェンダーに対する認識をより深く、批判的に考察する力を、DDL が養成する可能性が考えられるだろう。 

本シンポジウムではこれらの視点を通じて英語教育におけるジェンダーの問題を総合的に考察し、議論を深める予定である。ジェンダーに関わる英語教育の在り方を再確認し、実際の教育活動について模索する場となることを期待している。


<石川有香資料>

2024年度に使用されている小学校英語教科書のイラスト内容をまとめたデータベースEDIT_Elem(version 1) 
http://language.sakura.ne.jp/y/gender/ETID_Elem_20241005.xlsx

2016年度に使用された中学校英語教科書のイラストの内容をまとめたデータベースEDIT(version 1)については,こちら。https://ishikawayuka.blogspot.com/2020/03/gender-and-english-education.html

また,同様の方法で,韓国の中学校英語教科書のイラストの内容をまとめたデータベースは下記になります。KATE-EDIT (version 1) https://ishikawayuka.blogspot.com/2020/07/kate-2020-korea-association-of-teachers.html

いずれもプロジェクトは進行中で,追加修正が行われます。

2024年9月7日土曜日

2024.09.07 JACETテスト研究会サマーセミナー参加

ライティングの評価・スピーキングの評価、ディスカッションの評価について何を基準にどのような評価をどうやって行うのか。 資料はDrop Box共有に。大学メールを見ること。

2024年3月20日水曜日

2024.03.20 (祝)2023年度ESP-SIG研究会

日時:2024年3月20日(祝)12:40-17:30 (開場12:40)

場所:京都キャンパスプラザ 6階 第6講習室 https://www.consortium.or.jp/about-cp-kyoto/access

英語コーパス学会ESP-SIG 2023年度研究会

研究発表

「アカデミック・ライティングにおけるSelf-mentionの選択とその課題」    

        石川有香(名古屋工業大学)

これまで、アカデミック・ライティングでは、著者を示す一人称代名詞を避けることが求められ、物主語や三人称代名詞や名詞の使用、または受動態の使用が推奨されてきた。しかし、近年では、曖昧性を避け、責任の所在を明確にするために、著者のSelf-mentionを推奨し、動作主を明示した能動態の使用を求めるガイドラインも見られるようになった。本研究では、日本人によるSelf-mentionの選択に的を絞って調査を行い、その課題を考察する。

講演会
第3部 特別講演(live on zoom)16:00-17:00

Genre as Interdiscursive Performance in ESP and Professional Communication Contexts

        Professor Vijay Kumar Bhatia (Chinese University of Hong Kong)

ABSTRACT

Genre, in recent times, has gone beyond its primary concern to analyze and understand discursive practices in various academic and professional contexts to integrate discursive and professional practices to account for interdiscursive performance (Bhatia, 2017) in specific ESP and other professional contexts. Drawing on some of the key aspects of critical genre theory to account for interdiscursive performance in ESP and professional communication, I would like to propose a Critical Genre based approach to the design and implementation of ESP and professional communication programmes.

 

2024年3月4日月曜日

2024年2月23日金曜日

2024.02.23 英語コーパス学会 言語変異研究会 発表会参加

2/23 コーパスと言語変異研究会
日時:2024年2月23日 (金) 10:00から12:10まで
方法:対面とZoomによるオンラインによるハイブリッド開催
対面の場所:沖縄県那覇市 みんなの会議室 那覇泉崎店501会議室 沖縄県那覇市泉崎1丁目13−3

プログラム
・研究発表1
「英語のポップカルチャーの中に見られる日本語借用語-2000年代の洋楽に注目して-」 
河野 美月(関西学院大学教育学部学部生)

Lyrics.com 洋楽の歌詞を年代別に検索可能(英語以外の言語も出てくる)OEDの日本語取り込みの最後が2006年amigurumiだという。
Lyrics.com

・研究発表2
「keywordとn-gramから見たマザーグースのphraseology」
谷 明信(関西学院大学)
・椎名他(1987)Briggs (1966) 408編 The Mother Goose Tresureを竹歌(1981)のプログラムを用いて,TTR,語の長さ,共通語の出現頻度日などから,口語よりも物語に近い
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900025432/KJ00004298827.pdf
・ODNRの語彙リスト(生でも少し変わっている)BNC(written/Demographicで書き言葉・話し言葉)と比較してAntConcのKeynessをとると特徴的なものを出す

・研究発表3
生成AIの添削は英語エッセイの使用語彙のレベルをどう変えるのか?」
杉森 直樹(立命館大学)
データ:NICER  AIを使っていないと思われる (A2-B1,Criterionのスコア付き,Educationトピック,理工系の学生22本)
ツール:English ProfileのCEFR for English
Text Inspector:A1-C2,その以外に分類される(色分け)
ChatGPTで添削:「以下の入力分の英語エッセイを添削してください」

コーパスと言語変異研究会 (corp-lang-var.blogspot.com)


2024年2月3日土曜日

2024.02.03 LCSAW 2024 学習者コーパス研究国際シンポジウム に参加・発表

学習者コーパス研究国際シンポジウム 
Learner Corpus Studies in Asia and the World
LCSAW6 (2024)に参加・研究発表 

 第 6 回学習者コーパス国際シンポジム LCSAW 6 (2024) 
〇日時:2024 年 2 月 3 日(土)午前 9 時 50 分~午後 4 時ごろ 
〇会場: 神戸大学百年記念館(交通案内) 
〇主催:神戸大学石川慎一郎研究室 

ポスター発表(4)
 Yuka Ishikawa (Nagoya Institute of Technology) 
 "Comparative Study of Self-mention Markers in Academic Text Written by Japanese and non-Japanese" 
「日本人英語使用者のアカデミック・ライティングにみる人称代名詞」 
※ICNALE WE 2.6を用いた日本人の代名詞の使用の調査